第66回全国茶審査技術競技大会で茶師にとっての栄誉「茶審査技術」の「九段」に昇段を果たし日々の精進に一層励んでいます。入社するまでお茶に対して思い入れがあったわけではありませんが、市川園の先輩方と触れ合う中で、茶師としてその道を貫く生き方に感銘したことが、私のお茶感を大きく変えました。茶師を目指すと決めてから、大会に参加する条件である青年団に26歳で入団させていただきました。1年目の予選会で良い結果を残せず悔しい思いをしたことを覚えています。その悔しさをばねに自分を磨き続け、私の人生にお茶は欠かせないものになっています。
お茶の知識と利き茶の力を競う「全国茶審査技術競技大会」は、茶師としての自らの力量を試すだけでなく、他県や他社のお茶従事者の方と知り合える貴重な機会でもあります。さらに大会に向けて社内で組むチームの練習では、他人の感じ方や表現を聞くことができたり、また聞かれたことに答えたりしながら熱心に取り組み、充実した時間を過ごしています。その成果として大会優勝の栄誉を勝ち取った時は、この上ない達成感を得られました。お茶と向き合う中で、人と出会い心が通う和やかな時間をいただける幸せに感謝します。
私の日々の生活は、妻の作る朝食から始まります。「感覚」が仕事の出来不出来を大きく左右する茶師の仕事に向き合うために、朝食の献立は毎日同じ。違うものを食べると感覚のアンテナが狂うからです。体調管理が肝要な職業にあって日々同じ朝食を取ることは、茶師美澤としての誇りを高める「ルーティン」。現状の実力に甘んずることなく、さらに高みの景色を見るために、心技体の充実はいまもこれからも課題です。自身の限界へ、飽くなき挑戦を続けます。